三菱商事がマイクロソフト共同創業者であるビル・ゲイツ氏の脱炭素ファンドに1億ドル(約130億円)出資する方針のようで、これは水素や再生航空燃料(SAF)などで商用化が近い事業に投資するファンドで、アジア企業では初めて投資判断も担うパートナーとなり、事業会社がアジアや日本に進出する際は連携し、脱炭素分野での新事業育成を加速していくようです。
三菱商事が出資するのはゲイツ氏が2021年に立ち上げたファンド「ブレークスルー・エナジー・カタリスト(BEC)」で、水素、SAFに加え、空気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する技術、長時間エネルギーをためる技術の4分野を投資対象としており、研究開発を終え、実用化のめどが立つ事業に投資することになります。
今回、三菱商事は投資先の精査や投資実行の判断をする「アンカーパートナー」となり、このアンカーパートナーは現在、マイクロソフトやシェル、ゼネラル・モーターズなど12社で構成されていて、三菱商事は初のアジア企業になるのだそうです。
BECの規模は30億ドルから始まり、最大100億ドルになる計画で、22年内にも最初の投資先を決める方向で、BECは米国や英国、欧州連合(EU)と連携し、投資先の事業に米英政府や欧州投資銀行などが最大160億ドル規模(融資保証含む)を支給する枠組みも整えています。
三菱商事は21年10月、30年度までに脱炭素関連で2兆円を投資する方針を公表しており、BECへの参画はその一環となります。
海外でCO2を回収して地中に埋め、再利用するCCUS事業に加わった際にファンドの出資企業などと接点を持ち、脱炭素のノウハウを持つ企業として出資をもちかけられたようで、アジアを中心に脱炭素の商機は広がると判断し、参画を決めたようで、有望事業にはファンドを通さず直接、投資することも検討しています。
ゲイツ氏は15年、脱炭素技術への投資会社ブレークスルー・エナジーを設立し、16年に新興企業に投資するベンチャーキャピタル、ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ(BEV)を作り、BEVにはアマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏らが出資しており、環境問題の解決には巨額の資金が必要と考え、21年にBECを立ち上げています。