ウクライナ侵攻を続けるロシアへ経済制裁を講じる日米欧が、ロシア富裕層による暗号資産(仮想通貨)を使った資金移動に警戒を強めているようで、どうやら「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥の幹部が手持ち資金を暗号資産に切り替え、海外不動産を購入する動きがあるようです。
これを放置しておけば、国際的な決済網から排除した制裁の効果を損ないかねないのだとか。
今年の3月上旬に日米欧の金融当局者の間で、ロシア富裕層が暗号資産を使ってUAEの不動産を購入しているとの情報が駆け巡り、金融制裁によってロシアの法定通貨ルーブルの急落が続く中、手元資金を海外不動産に置き換える狙いがあるとみられています。
近年、UAEでは銀行振り込みや小切手と並び、暗号資産が不動産取引の決済手段として活用されているのですが、暗号資産は裏付けとなる資産が明確でなく、価格が乱高下しやすい一方、決済手数料がかからないうえ匿名性が高いなっています。
UAEはロシア人の保養地としても人気が高く、ロシア制裁に対して中立的な立場を取ろうとしているUAEは、日米欧の制裁の抜け穴となっている可能性があり、街中にロシア人の姿が目立つようになっているのだそうです。
こうした動きに、G7は懸念を強め、11日に発表したG7の共同声明で「国際的な制裁の影響を回避、相殺するための手段としてデジタル資産を活用できないようにする」とし、暗号資産も制裁の対象とすることを明確にし、日本政府は、ロシアの政府関連や軍事関連の企業、プーチン大統領の側近とみられている富裕層をリスト化し、暗号資産の取引に関わる登録業者30社に口座や取引を凍結・停止するよう求める方針となっています。
アメリカでは既に暗号資産業者が取り組みを進めており、世界最大級の暗号資産取引所を運営するコインベースは今月、ロシアの制裁対象者などに関連した約2万5000のアドレスの利用を規制しています。
オリガルヒとは
ギリシャ語で「少人数が権力を握る政治体制」という意味があり、ロシアでは新興財閥の実業家らを指し、ソ連崩壊後の1990年代、国営企業が民営化される過程で巨額の財産を築いた人たちが、政治的影響力を持つようになり、プーチン大統領はオリガルヒの排除を進めまたのですが、自分に忠誠を誓う人には利権を分け与え、同じ構造が続いていました。