アメリカ中央銀行の米連邦準備理事会が、金融政策の転換点となる「テーパリング」を11月から始めると決定しました。
国債購入額は15日以降の1カ月間で計約700億ドル(約8兆円)と前の月より100億ドル減らし、11月15日から12月13日の国債購入計画では、償還期限まで10年以内の国債を約75億ドル減、期限10年以上を17億ドル減、物価連動国債を約8億ドル減とし、住宅ローン担保証券(MBS)については15日から29日の購入計画を示し、10月の同期間よりも減額していき、今後1カ月間のMBS購入額を350億ドルと50億ドル減らす方針を示しています。
テーパリングというのは、中央銀行が量的緩和政策を段階的に縮小していくことで、語源は「先が細っていく」「徐々に減っていく」という意味のtaperで、そもそも量的緩和とは、中央銀行が金融市場のマネーの量を増やすために、銀行などから国債などを買い入れる政策手法で、ゼロ金利政策が長引き、今では日銀やFRB、欧州中央銀行(ECB)といった主要中銀が、金融緩和の「切り札」としてこぞって採用しています。
FRBは新型コロナ危機が深刻になった20年3月に量的緩和を発動し、買い入れ量は毎月1200億ドル(約14兆円)と前例のない大きさで、FRBの保有資産量はこの1年半で4兆ドルから8.5兆ドルに膨らみ、資産量はアメリカの名目国内総生産(GDP)の4割にあたる規模に達し、それだけ巨額のマネーを市場に流し込んできたことになります。
そしてテーパリングによって、その資金供給を段階的に減らしていき、具体的には月1200億ドルだったFRBの資産購入量を、月1050億ドル、月900億ドルと、毎月150億ドルずつ減らしていき、このペースでいくと最終的には22年半ばには資産購入量はゼロになって、この時点でFRBの保有資産は増えなくなり、量的緩和政策は終了となります。
つまりアメリカドルの希少性が増し、ドルが高くなりやすい地合いとなり、セオリー通りの動きになればアメリカ国債の金利は上昇し、株価は下落傾向となります。